2024-01-01から1年間の記事一覧
朝の満員電車でぎゅうぎゅうと押し込まれながら、スマホのアプリで新聞記事を流し読みしていた。すると、文章の中に読み方のわからない単語が出てきて先に進むことができなくなった。 わからないことがあると、そこで引っかかってしまうタイプの人間で、とり…
今の季節、帰宅時間の外はもう暗い。 電車の通路の中程で窓を向いて立っていると、暗い景色の中に自分が映る。視界に入るのは自分と、同じく窓に映る隣に立つ誰かと、前に座る誰かと。 朝のラッシュ時は余裕がなく、他人を感じるのも嫌なほどの混雑でできる…
毎朝毎朝うんざりする。 満員電車であることはもうどうしようもない。都心に向かう人間の流れを止めることはできないどころか、増え続ける馬鹿でかいビル群を考えれば今後さらに増えるだろう。 朝の電車は数分間隔でやってくる。次から次へとやってくるにも…
寝ついたはずなのに、何度も夜中に目が覚める。というより、寝ている感覚がなくずっと薄っすら起きているような状態にも思える。 何度も寝返りをうっては布団を顔まで引きずり上げる。寒いとはっきり感じているわけではないのに、なんとなく心もとないような…
私自身の運命として受け入れるしかないのか。 傷つけられたのは私なのに、傷ついたのは事実なのに、いつのまにか加害者のように扱われ「ごめん」なんて思ってもいないのに口から引きずり出される。 目の前に座る、まるで自分の方が辛いとでも言いたげな顔で…
私の足はどうも一癖あるらしい。 パンプスはもう諦めた。何を履いても痛い。うんとお金をかけてつくったフルオーダーメイドのパンプスさえ足が取れるんじゃないかと思うほど痛くて履けたものじゃなかった。何年も前に買ったパンプスが2足がなんとか履いてい…
余計なことは考えたくない。なのに、嫌なことばかりが頭の中をぐるぐるして、じわりと涙が目元に溜まる。一度考え始めると止まることはなくて、それ以外のことに意識を逸らすことを目一杯考える。 仕事があってよかった。暇な日もあるけど、今日はたまたまち…
わたしと、あいてと、ある約束をする。同じ内容を共有することになるが、問題なのはその内容がお互いにとってどの程度の重みがあるかということ。 約束を交わしても、わたしにとってものすごく重要なことでも相手にとってそうでなければ、約束は約束としての…
仕事内容、人間関係、賃金もろもろ、不満なく働いている人は一体どれくらいのいるだろうか。 毎日たいした仕事もしていないのに、どっと疲れて家に帰ると座り込んでしまってしばらくは動けなくなる。 最低限の仕事も、最低限の情報共有も、何もできない人た…
ビジネスホテルの楽しみのもうひとつは朝食。とりわけ地方の食事は美味しい。郷土料理や地元で採れた食材がいくつもならび、新しい味覚に手が伸びる。 普段、仕事のある日も休みの日も朝ごはんはほとんど食べない。なのに、地方に来ると地元の料理が食べてっ…
カードキーをタッチして重い扉をあけると、真っ白のカバーのかかったベッドが迎えてくれる。この小さな部屋が数日間の城となる。 まず荷物を置いて洗面所へ。手洗いうがいを済ませてベッドへ向かう。 ぴっと張られたシーツとカバーは寝るまではなんとかその…
冬に訪れるのは初めてだった。 毎日天気予報をみて覚悟はしていた。でもやっぱり寒かった。寒い、と一口に言っても都会の寒さとは違う自然の寒さだった。 海から流れる風と、山から降りてくる風とが合わさって顔に吹き付ける。冷たくてひりひりするくらいの…
コートは必須になった。 朝晩の電車のラッシュ時の窮屈さがさらに増したように思う。人の数はいつも通りの多さ。 何が違うかというと皆が厚着をしているということ。これまでなら空間であったはずの微かな隙間が、それぞれが身につける衣服の厚みによって埋…
さすがに寒い、というより空気の冷たさが痛いと感じるようになった。 クリーニングから帰ってきてからそのままだったコートをカバーから取り出して手前のラックにかける。同じくマフラーも袋から取り出してハンガーにかける。手袋がない。 いつも冬が終わる…
歩道を歩いていると、街路樹の目線の高さまで降りてきた鳥が一羽。 小さな体にオレンジが入っている。ような気がした。視界に入ってきたと思った時にはすでに飛び立ってしまった後で、写真を撮る間も記憶に留める間もなかった。 姿は見えないものの、遠くの…
愛想が尽きた、とはどの程度のことをさすのだろうか。 好きだとか大切だとか、考えるまでもなく当たり前にあった感情がどこかへ行ってしまって戻って来る気配がない。 ポジティブな感情が探してもなくて、怒りだとか悲しいだとか、虚しいだとか、そんなこと…
電車の乗り換えは、特に初めて行く場所の過程で生じる乗り換えは、ひとつのイベントのように不安と興奮がほんの少しずつ混じったような不思議な感覚になる。 けれども、都心部はどの時間でも人人人、で前に進むことすらストレスでしかない。 スマホばかりを…
電車とバスを乗り継いで着いたのは広々として静かな公園墓地。市街地から近いものの、思っていた以上に自然豊かだった。今の生活圏内に季節を感じられるような自然豊かな場所はないため、色づいた自然をみるのは久しぶりだった。 土の匂いとお線香の匂いが混…
毎朝、服に困っている。特に上着。寒いと感じるものの縮こまるほどではない。冬のコートを着るには早いような気がする。 窓から手を出して体感温度を確かめる。このひんやりした空気のなかで、駅まで歩いてあったかくなるかどうか。 わたしは体温調節が苦手…
週のど真ん中で休みを取った。とくに何をするでもないが、とにかくどこかで休みたかった。 満員電車でもみくちゃになっている時間はしっかり布団にくるまって、始業時間ごろにのそのそと起きる。 ほんとうに今日ちゃんと休みをとっただろうか、何か大事仕事…
秋晴れという空模様か。澄んだ青に薄い雲が漂っている。 自宅で仕事をしていると、天気がよくわかるので職場よりも開放感がある。ビルの狭間では空は見えず、向かいのビルからの反射が強いために窓はブラインドで塞がれたまま。そんな空間に毎日通うなんてわ…
新しい高層ビルが完成した。いかにも都会、と言わんばかりの外観はわたし好みではない。 いつも通る大通りの向こう側。大手建設会社によるもので、駅周辺の都市計画のひとつらしい。更地の頃から上へ伸びていく様子を見ていた。建設途中の段階で分かってはい…
たいそう失礼なことだとは思うが、あなたは本当に言葉を知らない。また、そのことに自覚がないあたり面倒だと思う。 わたし自身、人のことあれこれ言えるほどの人間ではないがあなたほどではないと思う。 確かに勉学に励み、それを誇りに社会に出てそこそこ…
美味しいのは知ってる。生で食べたこともある。いまのところ、問題はない。食べたい気持ちと、もしかしたら何かしらの不調がやってくるかもしれないという恐怖が付きまとうためにここ数年口にしていない。 数年前に浜焼きの店でついつい勢いよく食べたことが…
甘いものが好きで、洋菓子も和菓子もよく食べる方だと思う。好みのお菓子を見つけた時の幸福感はなんと形容していいかわからないが、私にとっては宝石のついたアクセサリーよりずっと価値あるものだ。 地方へ旅行に行くことが好きで、そこで必ず買うのはその…
よく行くスーパーが改装を終えた。と言っても大掛かりなものではなくて売り場の位置がいくつか変わった。 端っこにあったリカーショップがほんの少し真ん中寄りに移動してきた。わたしはお酒は飲まないので購入することはないが、ワインやウイスキーの綺麗な…
あのとき買っておけばよかった、と思うことは少なくない。小さなものなら尚更、さほど荷物にならないし金額も高額でなければ迷わず買ってしまえばよかった。どうしても今必要というわけではなかったために、今日でなくてもいいかとその時は買わなかった。 何…
右側の目の下というか、鼻寄りの頬というか、小さなできものができた。鼻周りや顎なんかにはたまにできることはあるが今までできたことのない場所にできた。 何がよくなかったのだろうかといろいろと考えてみるものの、体調がよろしくないくらいでいつもと大…
仕事終わりの寄り道スポットのひとつ、チェーン店のカフェ。夜はいつも空いているし、ここは遅くまでやっているので18時過ぎならケーキなんかも比較的たくさん置いてくれている。 甘いものだけを飲んで帰ろうといつもレジに行く前に注文のシミュレーションを…
列車を使って観光地へ向かうとき、たいていお昼ご飯どきに目的地へ到着するようにしている。 地元の美味しい物を食べたいと思うのは皆同じなようで、駅周辺のお店は満席ですんなり食事にありつけることが少ない。 そんなときは少し駅から離れたお店を探す。…