なんでもないと思いたい。

わたしのこと、日々思うこと。

仕事終わりの寄り道スポットのひとつ、チェーン店のカフェ。夜はいつも空いているし、ここは遅くまでやっているので18時過ぎならケーキなんかも比較的たくさん置いてくれている。

甘いものだけを飲んで帰ろうといつもレジに行く前に注文のシミュレーションをする。もう何度も来ているし、店員さんが丁寧なのも分かっているのにいつもどきどきしながらレジに向かう。

レジと同じ並びにケーキのショーケース。どうしようかな、食べようかな、いや、飲み物だけ、と迷っていると店員の爽やかなお兄さんががお決まりでしたら先に食べ物お伺いしましょうか、なんて声をかけてくれる。このマロンケーキを、とショーケースの一番手前の真ん中を指差しながらお願いした。

するとレジが空き、次は落ち着いた雰囲気のお姉さんが笑顔で注文を聞いてくれる。口が空回りしそうになりながらも甘いモカのホットで、サイズとトッピングをお願いする。クレジットカードで支払いをすると、控えがなかなか出てこない。

すると、マロンケーキは初めてですか、とお姉さんが話しかけてきてくれた。そうなんです、と答えると、季節限定なので今月でこちら終わりなんです、とのこと。

そうなんですね、と相槌を打ちながらそうか、栗は10月で終わりなのか、と思った。ということは次はもうクリスマスのメニューになるのかな、なんて考えていると、来月から新しいメニューが出るので楽しみにしてくださいと、やっと出てきたクレジットカードの控えを手渡しながら教えてくれた。

先にプレートにのせてもらった栗のケーキを持ってドリンクの出来上がりを待つ。手元のケーキの端っこに見える栗の実を見つめながら、改めて栗はもう終わりか、と思った。

暦では秋ではあるものの、あまり秋らしいこともしていないし、食べ物のも旬のものをそういえば口にしていない。

栗は終わりと言われてしまうと、なんだか秋も終わってしまうような気がしてしまって、少し寂しい様な、何にもせずに時が過ぎている様ななんとも言えない気分になった。もう少しすれば気温も下がって、紅葉も身近に見れるだろう。秋を感じる機会はたぶんまだあるのだろうけど、もしかしたら栗は食べれなくなるかもしれない。

お店から栗の取り扱いがなくなる前に、またどこかで食べよう。

面倒だけど栗ご飯でもしようか。面倒だからどこかで焼き栗でも買おうか、なんて。